基礎知識

六ヶ所研

正式名称・表記
六ヶ所フュージョンエネルギー研究所
ENGLISH
Rokkasho Institute for Fusion Energy

青森県六ヶ所村にあるQSTの研究所。原型炉設計、材料、中性子源、ブランケット、燃料の研究を通じ、核融合を発電システムへつなげます。

FUSION INDUSTRY 編集部掲載日 2026-10-08更新 2026-10-084 MIN READ
意味と役割を理解するための用語解説です。確認日:2026-10-08。
六ヶ所のLIPAc制御室に集まった日欧のチーム。2024年8月公開写真。©IFMIF/EVEDA/Fusion for Energy
六ヶ所のLIPAc制御室に集まった日欧のチーム。2024年8月公開写真。©IFMIF/EVEDA/Fusion for Energy写真:©IFMIF/EVEDA/Fusion for Energy · 利用条件

名前と位置付け

六ヶ所フュージョンエネルギー研究所(ろっかしょ、通称「六ヶ所研」)は、青森県六ヶ所村にあるQSTの研究所です。英語名は Rokkasho Institute for Fusion Energy。QSTは量子科学技術研究開発機構という法人、六ヶ所研はその研究拠点を表します。研究所公式サイト/英語名と所在地

主な役割は、核融合で生まれたエネルギーを、使える発電システムへつなぐ研究です。核融合反応を起こす条件だけでなく、熱を取り出す機器、燃料を循環させる設備、中性子に耐える材料、装置全体の設計を扱います。「六ヶ所」という地名だけで、他の原子力関連施設と同じ施設だと判断しないことも大切です。

原型炉を一つのシステムとして設計する

核融合原型炉には、プラズマ、超伝導磁石、ブランケット、燃料設備、発電設備、遠隔保守などが必要です。それぞれの性能が高くても、寸法・熱・電力・保守の条件が合わなければ一緒には動きません。原型炉設計は、その条件を合わせて装置全体の成立性を検討する仕事です。

六ヶ所には、産学連携の原型炉設計合同特別チームが置かれています。従来のJA DEMOの検討を土台として、現在はITERサイズの原型炉Q-DEMOの概念設計が公表されています。設計活動の拠点が六ヶ所にあることは、Q-DEMOの実機がそこに完成したことを意味しません。Q-DEMOと設計活動の説明

LIPAc:材料試験を支える加速器の研究

核融合炉では、高エネルギーの中性子が材料の性質を変えます。強度や寿命を予測するには、想定する環境で材料を確かめる研究が欠かせません。六ヶ所研は、そのための中性子源に必要な加速器技術を日欧で研究しています。材料研究の説明

LIPAcは Linear IFMIF Prototype Accelerator の略で、IFMIF原型加速器と呼ばれます。IFMIFは国際核融合材料照射施設の構想、IFMIF/EVEDAはその工学実証・工学設計活動です。六ヶ所にあるLIPAcは加速器の低エネルギー部分を検証する装置で、完成したIFMIF全体や発電炉とは区別します。LIPAcの公式説明

目標は重陽子ビームを9 MeV・125 mAで連続運転することです。2026年9月のF4E発表では、同年春に全構成を統合し、試運転を進めていると説明されています。全構成の組立と、目標ビームの連続運転達成は別の段階です。2026年9月の進捗

六ヶ所に設置された原型加速器LIPAc。2024年8月公開写真。©IFMIF/EVEDA/Fusion for Energy
六ヶ所に設置された原型加速器LIPAc。2024年8月公開写真。©IFMIF/EVEDA/Fusion for Energy写真:©IFMIF/EVEDA/Fusion for Energy · 利用条件

ブランケット:熱・燃料・遮蔽を扱う

ブランケットは、将来の核融合炉でプラズマを囲む重要な機器です。中性子のエネルギーを熱として回収し、リチウムから燃料のトリチウムを作り、外側の機器への放射線を抑える役割を持ちます。六ヶ所研では、その構造や材料、燃料回収などを研究しています。

ITERで行うテストブランケットモジュール(TBM)の試験に向けた開発も関係します。ただしITERのTBMは、将来の炉に向けて機能を試すもので、ITERで商用発電や燃料自給が実現するという意味ではありません。ブランケット研究/ITERの増殖試験

燃料を安全に回す研究

トリチウムを作ることと、回収・精製して再び供給することも別の技術です。さらに、設備内にどれだけあるかを把握し、漏えいを抑える必要があります。六ヶ所研では、原型炉の燃料サイクルやトリチウムの安全取扱いを研究しています。これらは燃料自給がすでに完成したという説明ではなく、成立性を確かめるための研究課題です。

計算と遠隔実験も、炉開発の一部

国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)は、原型炉設計・研究開発、計算機シミュレーション、ITER遠隔実験の準備を扱う日欧協力の事業です。実物の装置ですべてを試す前に計算で現象を予測し、実験データと比べることで、設計や運転方法を改善します。IFERCの公式紹介

2026年7月1日付の組織図には、原型炉プロジェクト推進部、核融合炉材料研究開発部、ブランケット研究開発部が示されています。古い研究紹介ページには旧部署名も残るため、組織と研究テーマの更新日は分けて確認する必要があります。現行組織図

那珂研との関係

那珂研のJT-60SA実験や装置開発と、六ヶ所研の炉設計・材料・燃料の研究は互いを補います。例えば、プラズマの条件が変われば、壁に入る熱や必要な燃料量も変わります。QSTは2026年4月から、両研究所を一体的なマトリックス体制で運営する方針を示しています。

関連用語・詳しく読む

情報確認日

2026年10月8日。組織名・役割・計画と実績を公式公開資料で確認しています。

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