QST
- 正式名称・表記
- 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
- ENGLISH
- National Institutes for Quantum Science and Technology
QSTは量子科学技術研究開発機構の略称。那珂・六ヶ所の研究拠点を軸に、ITER、JT-60SA、原型炉開発を担う日本の研究機関です。
QSTとは
核融合の記事でQSTが登場したら、まず「装置の名前ではなく、研究開発を担う組織」と考えてください。研究所という場所、その場所に置かれる装置、複数の国や組織で進める計画を分けると、ニュースの主語が分かりやすくなります。
フュージョン分野で何をしているのか
QSTは、日本がITER計画で分担する機器・設備の調達や人材協力の窓口となる国内機関です。また、日欧協力のJT-60SAによるプラズマ研究を進め、将来の原型炉に必要な設計・材料・燃料・炉工学の研究をつなぎます。自分たちで実験するだけでなく、大学や企業の技術を大規模な国際計画へ結び付ける役割があります。量子エネルギー研究分野
この分野の中核となる研究所が、茨城県の那珂フュージョン科学技術研究所と、青森県の六ヶ所フュージョンエネルギー研究所です。QSTの本部は千葉市にあり、「QSTの所在地」と「JT-60SAの所在地」は同じ意味ではありません。所在地
那珂:プラズマ実験とITER機器開発の拠点
那珂フュージョン科学技術研究所にはJT-60SAが置かれています。磁場でプラズマを閉じ込め、加熱し、その状態を測定して制御する研究の現場です。高い性能を一瞬だけ出すのでなく、狙った状態を安定して保つ方法を調べます。
那珂ではITER向けの主要機器の開発・調達も進めています。2026年7月の組織図には、超伝導磁石、加熱、プラズマ対向機器、遠隔保守、電源・制御などの開発グループがあり、実験物理と装置工学が接続しています。「プラズマを研究する場所」という説明だけでは、那珂の仕事の一部しか表せません。那珂の研究所紹介/組織図

六ヶ所:発電システムを成立させる研究拠点
六ヶ所フュージョンエネルギー研究所では、原型炉の設計、材料、中性子源、ブランケット、燃料の研究が進められています。プラズマでエネルギーが生まれても、それを熱として取り出し、機器を守り、燃料を回していかなければ発電システムは成立しません。
六ヶ所にあるLIPAcは、将来の材料照射用中性子源を支える原型加速器です。核融合発電炉そのものではありません。原型炉設計合同特別チームの活動も六ヶ所を拠点とし、Q-DEMOの設計につながっています。六ヶ所の研究所紹介

二つの研究所はどうつながるか
那珂のプラズマ・機器の知見と、六ヶ所の炉設計・燃料・材料の知見は相互に必要です。QSTは2026年4月から、両研究所を一体的なマトリックス組織として、原型炉・ITER・JT-60SAの各プロジェクトを進める方針を示しています。二つの研究所の役割は、完全に切り離された分担ではありません。
産業界との接点も両拠点にあります。共同研究や施設利用は、目的に応じた手続を通じて行います。研究施設が存在することと、誰でも自由に利用できることは別です。連携・施設利用の公式窓口
成り立ちの補足
QSTは2016年4月、放射線医学総合研究所に、JAEA(日本原子力研究開発機構)の核融合研究開発と量子ビーム応用研究の一部を統合して発足しました。JAEA全体が合併・消滅したわけではありません。量子・放射線医学などの研究も行う背景は、この成り立ちにあります。公式沿革
関連用語
- 那珂フュージョン科学技術研究所:QSTの研究拠点
- 六ヶ所フュージョンエネルギー研究所:QSTの研究拠点
- ITER:国際協力による実験炉と計画
- JT-60SA:那珂にある実験装置と日欧共同計画
- Q-DEMO:発電実証を目指す原型炉の概念設計
情報確認日
2026年10月8日。組織名・役割・計画と実績を公式公開資料で確認しています。