那珂研
- 正式名称・表記
- 那珂フュージョン科学技術研究所
- ENGLISH
- Naka Institute for Fusion Science and Technology
茨城県那珂市にあるQSTの研究所。JT-60SAによるプラズマ研究と、ITERを支える機器・炉工学研究を進める拠点です。

名前と位置付け
那珂フュージョン科学技術研究所(なか、通称「那珂研」)は、茨城県那珂市にあるQSTの研究所です。QSTの正式名は国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構。QSTが法人の名前、那珂研がその研究拠点の名前であり、敷地内に設置された実験装置がJT-60SAです。研究所公式サイト
英語名は Naka Institute for Fusion Science and Technology です。古い資料には「那珂核融合研究所」「那珂研究所」などの名称も出てきます。過去の成果を読む際は、その資料の日付と当時の名称を確かめ、現在の組織名と区別してください。現行英語名と所在地
JT-60SAで、プラズマの扱い方を調べる
核融合に向けては、プラズマを熱くするだけでなく、十分な圧力を保ち、熱や粒子が逃げる速さを抑え、安定した状態を維持する必要があります。JT-60SAは、その運転方法を日欧で調べる超伝導トカマク型の実験装置です。
研究では、加熱の方法やプラズマの形を変え、計測した結果を理論や計算と比べます。計測は「どんな状態になったか」を捉え、制御は「狙った状態に近付ける」ために機器を動かします。実験、モデル化、解析、計測、制御がひと続きの仕事となっています。JT-60SA計画
2023年10月23日の初プラズマは、装置の各機器が連動し、初めてトカマクプラズマを生成した節目です。一方、発電を実証した日ではありません。2026年2月27日には、増強した機器を組み合わせる統合試験運転を開始しました。こうした言葉の違いは、研究所の進捗を理解するうえで重要です。初プラズマの発表/2026年の統合試験運転
ITERを支える仕事も那珂で進む
ITERの実機が建設されている場所は南フランスです。那珂研にITER本体があるわけではありません。日本の国内機関を担うQSTは、日本が分担する機器の開発・調達やITER機構への人材協力を進めており、那珂はその主要な実務拠点です。那珂の公式紹介
大型の研究装置では、機器を個別に作る能力と、それらを一つのシステムとして機能させる能力の両方が必要です。例えば、磁石には極低温設備と電源が、加熱装置には冷却と真空設備が、遠隔保守には機器を交換できる設計が関係します。単一の専門だけで装置全体を完成させることはできません。
プラズマと装置工学の両方を担う
2026年7月1日付の組織図には、JT-60SAプロジェクト推進部、ITERプロジェクト推進部、先進プラズマ研究開発部、炉工学基盤研究開発部が示されています。炉工学の側には、超伝導磁石、RF加熱、NB加熱、プラズマ対向機器、遠隔保守、電源・制御、安全研究などのグループがあります。最新組織図の掲載ページ
RF加熱は電磁波を使う加熱、NB加熱は中性粒子ビームを使う加熱です。プラズマ対向機器は、プラズマから流れ出る熱や粒子を受ける機器を指します。専門用語が並んでいても、「熱を入れる」「状態を測る」「安定させる」「熱を受ける」「交換する」と役割に置き換えると、研究のつながりが見えてきます。
六ヶ所・原型炉との関係
六ヶ所研では、原型炉設計、材料、中性子源、ブランケット、燃料の研究が進められています。那珂で得たプラズマや装置の知見は、これらの研究と組み合わせて将来の発電システムの設計に生かされます。
QSTは2026年4月から両研究所を一体的なマトリックス体制としています。したがって「那珂は物理だけ、六ヶ所は工学だけ」と線を引くと実態を取り違えます。那珂にも工学研究があり、両拠点の人や知見がITER・JT-60SA・原型炉の各計画に関わります。QSTの研究体制
初めて記事を読むときの確認点
「那珂で成功」という見出しを見たら、装置はJT-60SAなのか、ITER用機器の試験なのかを確かめてください。次に、結果がプラズマの性能、機器単体の性能、統合運転のどれに関するものかを見ます。この二つが分かると、その成果が将来の核融合発電にどうつながるかを追いやすくなります。
関連用語・詳しく読む
情報確認日
2026年10月8日。組織名・役割・計画と実績を公式公開資料で確認しています。