PROJECT INTELLIGENCE

ITER

名称の補足
ITER(イーター、核融合実験炉)
ENGLISH
ITER

ITER(イーター)は南フランスで建設中の国際的な核融合実験炉。燃焼プラズマや装置技術を研究しますが、発電・送電は行いません。

FUSION INDUSTRY 編集部掲載日 2026-10-07更新 2026-10-084 MIN READ
意味と役割を理解するための用語解説です。確認日:2026-10-08。
ITERトカマク複合施設の建設現場。2018年4月撮影の記録写真。
ITERトカマク複合施設の建設現場。2018年4月撮影の記録写真。写真:ITER Organization/Oak Ridge National Laboratory, “ITER Site”, CC BY 2.0 · 利用条件

ITERとは

ITER(イーター)は、南フランスのサン・ポール・レ・デュランスで建設が進む核融合実験炉と、その国際計画の名称です。将来の核融合発電に必要な科学と技術を調べる大型のトカマク装置ですが、ITER自体は発電・送電を行いません。ITERの全体像

名称は、もともと International Thermonuclear Experimental Reactor(国際熱核融合実験炉)の頭文字から来ています。現在の公式説明では、ラテン語で「道」を意味するITERを固有名として使っています。「英語の正式名称を展開すれば全て説明できる略語」とは少し違う成り立ちです。名称の変遷

何を実験するのか

大きな研究対象は「燃焼プラズマ」です。ここでいう燃焼は、石油やガスを酸素と反応させる化学的な燃焼とは異なります。重水素とトリチウムが核融合すると、ヘリウム原子核と中性子が生まれ、エネルギーが放出されます。ヘリウム原子核がプラズマを内側から加熱する効果が大きくなる状態を研究します。核融合反応/燃焼プラズマの説明

外部から加熱する実験では、人が入れた熱への応答が中心になります。反応自体が強い熱源になると、温度、粒子の動き、閉じ込めや制御の関係も変わります。その状態を予測し、安定して扱えるかを確かめることが、将来の炉の設計に重要です。

仕組み:磁場で閉じ込めるトカマク

ITERでは、ドーナツ状の真空容器内にプラズマを作り、外部コイルとプラズマ電流が生む磁場を組み合わせて閉じ込めます。プラズマは電気を帯びた粒子の集まりなので、磁場によって運動を制御できます。強力な磁場を作る超伝導磁石は極低温に冷やし、その内側では高温のプラズマを扱います。

磁石だけでは実験できません。燃料供給、加熱、計測、真空排気、冷却、電源、制御が必要で、壁やダイバータは流れ出る熱や粒子を受けます。ITERは、こうした機器を大型装置として組み合わせる技術も検証します。トカマクの仕組み

「Q=10」は発電量が10倍という意味ではない

ITERの代表的な目標は、プラズマへ入れる外部加熱50 MWに対して、核融合出力500 MWを得ることです。この比がプラズマ利得Q=10です。500 MWは電気出力ではなく、核融合反応が生む出力を表します。ITERの目標

分母の50 MWには、施設全体が使う電力のすべてが入っているわけではありません。加熱装置へ電気を供給するときの損失や、冷却・真空・補助設備などの消費も別にあります。したがって、Qが10になっても、そのまま「投入電力の10倍の電気を送れる」とは言えません。2026年10月8日時点で、これらはITERの研究目標です。

トリチウム増殖も試す

将来のD–T核融合発電では、使ったトリチウムを補う方法が重要になります。ITERでは、リチウムを使ってトリチウムを作るテストブランケットモジュール(TBM)の試験も計画されています。

これは、限られた試験モジュールで将来のブランケット技術を確かめる役割です。ITER全体が燃料を自給する実証や、発電所として燃料・熱・電力を一体で運用することとは分けて考えます。ITERのトリチウム増殖試験

ITER機構とQSTはどんな関係か

計画に参加するのは、日本、欧州、米国、ロシア、中国、韓国、インドの7極です。各極が機器などを分担し、ITER機構が計画全体の統合と現地施設の運営を担います。「ITER機構」は国際機関の名前であり、日本のQSTとは別の組織です。ITER機構の説明

QSTは日本の国内機関として、日本の分担機器・設備の調達や人材協力の窓口を担います。日本企業が製作する機器がフランスのITERへ運ばれることと、日本国内にITER本体を建てることは違います。QSTの役割

JT-60SA・Q-DEMOとの違い

JT-60SAは那珂にある実験装置で、ITERや原型炉に役立つプラズマの運転方法を調べます。Q-DEMOは発電実証を目指す原型炉の概念設計です。ITERで燃焼プラズマの知見が得られても、燃料循環、材料寿命、保守、正味の発電などの課題が自動的に解決するわけではありません。各計画がどの問いに答えるかを意識すると、成果を読み違えにくくなります。

関連用語・詳しく読む

情報確認日

2026年10月8日。組織名・役割・計画と実績を公式公開資料で確認しています。

プロジェクト DATA

国
フランス
所在地
フランス / 国際協力
主体
ITER Organization
参加組織
未確認・未設定
方式
Tokamak
ステータス
建設・組立
開始年
未確認・未設定
完成予定
未確認・未設定
主要マイルストーン
2026年7月28日6組目のセクターモジュール据付。10月2日最後の真空容器セクター到着。研究運転2034年・D-T運転2039年は計画。

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