PROJECT INTELLIGENCE

Q-DEMO

名称の補足
Q-DEMO(ITERサイズの核融合原型炉の概念設計)
ENGLISH
Q-DEMO

Q-DEMOはQSTが概念設計を公表したITERサイズの核融合原型炉。発電、燃料増殖、定常運転を段階的に実証する構想で、実機の発電実績ではありません。

FUSION INDUSTRY 編集部掲載日 2026-10-07更新 2026-10-084 MIN READ
意味と役割を理解するための用語解説です。確認日:2026-10-08。
Q-DEMOの概念設計における三段階の概念図。第1期は数分のパルス運転による正味電力ゼロ規模の発電、第2期は30分以上の運転と燃料増殖、第3期は約100 MWの正味電力を伴う定常運転を目指す。全て段階案であり実績ではない。
概念図:Q-DEMOの第1期は数分のパルス運転と正味電力ゼロ規模の発電、第2期は30分以上の運転と燃料増殖、第3期は約100 MWの正味電力を伴う定常運転を目指す。概念設計における段階案・実績ではありません。FUSION INDUSTRY 編集部作成(概念図)

Q-DEMOとは

Q-DEMO(キューデモ)は、QSTが概念設計を公表した、ITERサイズの核融合原型炉の名称です。QSTの正式名は量子科学技術研究開発機構。QSTが研究機関の名前なのに対し、Q-DEMOはその原型炉構想を指します。公式公開資料ではQ-DEMOという名称が使われており、ここでは独自の英語展開を付けません。QSTによる名称と構想の説明

原型炉は、核融合の科学実験から、発電システムとしての実証へ進むための装置です。Q-DEMOは2026年10月8日時点で未建設の原型炉構想で、概念設計を基に研究開発を進める段階です。将来の性能や運転時間は、設計上の目標として読む必要があります。原型炉の公式解説

なぜITERサイズなのか

従来の日本の原型炉検討であるJA DEMOを基盤に、より早い発電実証に向けて、ITERの設計や製作経験を活用する考え方です。ITERに近い規模・機器構成を採用し、技術上の隔たりを小さくすることを狙っています。ITERを発電所へ改造するという意味ではなく、別の原型炉を設計する構想です。

既存技術を使う場合も、設計条件が変われば確認が必要です。発電用の熱を取り出し、燃料を扱い、炉内機器を交換するには、プラズマ装置の設計に追加すべき条件があります。「ITERの経験を使う」という方針だけで、費用・工程・性能が確定するわけではありません。公開概念設計概要

どのように電気を作るのか

重水素とトリチウムの核融合では、ヘリウム原子核と中性子にエネルギーが分配されます。将来の発電炉では、中性子が運ぶエネルギーをブランケットなどで熱として受け取り、冷却材や熱交換系を通じて発電設備へ渡します。プラズマから直接、送電線に電気が出てくるわけではありません。核融合反応の基礎/原型炉の構成機器

ブランケットには燃料のトリチウムを作る機能も求められます。生まれた燃料を取り出して精製・供給する設備や、使わずに排気された燃料を回収する経路も必要です。熱の流れと燃料の流れを、同時に成立させる点が原型炉の難しさです。ブランケットと燃料の研究

三段階で何を実証する計画か

公開された概念設計概要は、段階的に機器とプラズマ性能を高める案を示しています。以下はすべて将来の開発目標です。

  • 第1期:発電に重点を置いたブランケットを使い、数分のパルス運転で正味電力ゼロ規模の発電を目指す
  • 第2期:燃料増殖を行うブランケットへ交換し、30分以上の運転で、正味電力ゼロ規模の発電と燃料増殖を目指す
  • 第3期:機器の効率やプラズマ性能を向上し、定常運転で約100 MWの正味電気出力を目指す

「2030年代の発電実証」という目標を、この三段階すべての完成期限として読み替えてはいけません。また、段階を進めるには、研究開発と機器の更新が必要です。三段階の運転開発目標:概要版1~3ページ

発電端出力・正味電力・プラズマ利得を分ける

発電端出力は、発電機が作る電力です。そこから加熱・冷却・真空・補助設備など、プラント自身が使う電力を差し引いたものが正味電力です。「正味電力ゼロ規模」は、発電する仕組みを動かしながら、おおむね自分自身の消費を賄う規模を意味し、大きな余剰電力の供給とは異なります。

一方、プラズマ利得Qは、核融合出力と外部からプラズマへ入れる加熱の比です。ITERのQ=10目標もこの指標であり、電気の収支ではありません。Q-DEMOの数字を読むときも、「核融合出力」「発電端の電気出力」「正味電気出力」のどれかを確かめることが重要です。ITERのQの説明

どこで、誰が検討しているのか

原型炉設計合同特別チームは、六ヶ所研を拠点とする産学連携のチームです。Q-DEMOでは、ITERの機器製作やJT-60SAの建設・運転から得た技術や知見の活用を目指します。研究成果が集まる場所、設計チームの所在地、将来の炉の建設地は同じ概念ではありません。六ヶ所研に設計活動があることだけで、Q-DEMOの建設地を断定しないようにします。

設計の次に何を確かめるのか

概念設計は、目標に対して各機器やプラズマの条件を組み合わせ、成立の見通しと課題を示す段階です。その後は材料の健全性、熱負荷への耐性、燃料の収支、遠隔保守、機器の製作性などを検証していく必要があります。要素技術の成功と、発電システム全体の実証も区別して評価します。

関連用語・詳しく読む

情報確認日

2026年10月8日。組織名・役割・計画と実績を公式公開資料で確認しています。

プロジェクト DATA

国
日本
所在地
日本(建設地の確定は本稿で未確認)
主体
QSTを中心とする原型炉設計合同特別チームなど(設計研究)
参加組織
未確認・未設定
方式
Tokamak
ステータス
概念設計・研究開発
開始年
未確認・未設定
完成予定
未確認・未設定
主要マイルストーン
概念設計概要を公表。2030年代の発電実証を目標とし、概念工程では2038年に第1期運転開始を想定。

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