明日はいよいよ那珂研の施設見学会! 世界へつながる研究拠点のすごさを見に行こう

10月17日の施設見学会を前に、那珂研の魅力を研究装置、ITERを支える工学、日欧の人材育成から紹介。一般入場と予約制ツアーの違い、見学範囲、無料シャトルの最終便も確認し、現地で見つけたい疑問を提案する。

FUSION INDUSTRY掲載日 2026-10-16更新 2026-10-16
この記事を共有

発表日:2026-10-17

茨城県那珂市のQSTにあるJT-60SAを上から見た様子。装置の周囲に配管や作業足場が広がる。
JT-60SA(2026年3月)© QST/掲載:Fusion for Energy · 利用条件

THE TAKE

翌日の一般公開を、研究の現場へ足を運ぶ具体的な動機に変える。巨大な装置だけでなく、工学的な検証と国際的人材育成を知ることで、来場者が展示を自分の疑問と結び付けられる。

WHY IT MATTERS

翌日の一般公開を、研究の現場へ足を運ぶ具体的な動機に変える。巨大な装置だけでなく、工学的な検証と国際的人材育成を知ることで、来場者が展示を自分の疑問と結び付けられる。

明日はいよいよ、那珂研の施設見学会だ。2026年10月17日(土)、QST那珂フュージョン科学技術研究所が一般来場者を迎える。巨大な研究装置に胸が躍る人も、核融合を初めて知る人も、この場所で何が積み重ねられているのかを知ってから訪ねると、一日がぐっと面白くなる。

那珂研のすごさは、装置の大きさだけでは語り切れない。高温プラズマを調べる研究、世界へ送り出す機器の開発、それを動かす次の世代の育成が、同じ拠点でつながっている。明日は、その仕事の広がりに触れる機会だ。QST公式開催案内

那珂から、世界の核融合研究へ

QSTは国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構。その那珂の拠点には、日欧共同のJT-60SAがある。トカマクと呼ばれる、磁場を組み合わせて高温のプラズマを閉じ込める方式の実験装置だ。プラズマとは、原子から電子が離れ、電気を帯びた粒子が動く状態をいう。

ここで問うのは、温度を上げられるかだけではない。プラズマをどう安定させ、どう測り、次の運転へ知識を蓄えるか。那珂研はさらに、フランスで建設が進む国際実験炉ITERの日本国内機関として、産業界とともに主要機器の開発・調達を進めている。国内の実験と、世界規模の建設が接続する場所なのである。QST・那珂研の研究方針

核融合の商用発電が、ここで既に実現したわけではない。それでも、未来に必要な条件を、設計図から実機へ、単独の部品から動く設備へ進める仕事には十分に圧倒される。

那珂のJT-60SAトカマクホールで設備増強の状況を見学する実験チーム調整会合参加者。
JT-60SA実験チーム調整会合の参加者(2026年2月)© QST/掲載:Fusion for Energy · 利用条件

巨大装置の周囲にも、主役がいる

JT-60SAの写真をよく見ると、本体の周りには配管、ケーブル、架台、補助設備が幾重にも並ぶ。高温を扱う研究は、冷やす、空気を抜く、電気を届ける、状態を測るという仕事に支えられている。中心の装置と、それを動かす設備を一緒に眺めたい。

F4Eが2025年1月に紹介した増強工事では、日欧70社超の供給者から調達した機器が組み合わされ、加熱や計測の設備が追加されていた。掲載した中性粒子ビーム装置の吊り上げ写真は、2024年12月の作業だ。大きな部品を運ぶ力と、狙った位置に据える精密さ。その両方が研究を前に進める。F4Eの設備増強報告

明日の企画にも、その広がりが見える。中央変電所のバックヤードツアー、超伝導や真空の実験、NBIに関する展示、ロボットアームの操縦などが用意される。NBIは、電荷を持たない粒子のビームでプラズマにエネルギーを届ける加熱技術。展示を通して「本体を動かすには何が必要か」と考えると、一つ一つの設備が急に身近になる。

JT-60SA実験棟で吊り上げられる中性粒子ビーム加熱装置のユニット
JT-60SAの中性粒子ビーム加熱装置(2024年12月)写真:© Fusion for Energy(F4E) · 利用条件

日本の技術を、実際に動く機器へ

那珂研が担う国際協力は、研究者同士の情報交換にとどまらない。例えばITERの超伝導トロイダル磁場コイル。環状の装置の周囲に並び、プラズマを閉じ込める磁場をつくる巨大な磁石である。日本は9機のコイルの製作を担当した。

QSTと東芝は2026年8月25日、日本製コイルをITER建設サイトで約マイナス269℃まで冷やし、1万アンペアを安定して流す試験に成功したと発表した。QSTの技術担当者は、製作経験を基に試験計画にも貢献した。今回の1万アンペアは試験実績であり、設計上の6万8千アンペアまでの運転や、ITER全体の運転開始を意味しない。QST・通電試験の公式発表

大型部品は、完成して終わりではない。輸送し、冷却設備や電源につなぎ、想定した条件で働くか確かめる。日本が調達した別のコイルTF13は、2020年7月3日にITERへ到着している。国境を越えて巨大な部品を届ける工程にも、多くの技術が集まる。ITER・TF13搬入の記録

明日の会場でITERの紹介に出合ったら、遠い国の巨大プロジェクトを、日本の研究者やメーカーがどのように支えているのかにも注目したい。那珂と世界は、実物の機器と人の経験でつながっている。

日本が調達したITERのトロイダル磁場コイルTF13を載せ、フランスの夜間の道路を進む輸送車列。
日本調達のITERコイルTF13を輸送(2020年、今回の通電試験とは別)© ITER Organization, http://www.iter.org/ · 利用条件

研究装置は、人を育てる場でもある

もう一つ見逃せないのが、知識を次の世代へ渡す仕事だ。2026年の第4回JT-60SA国際核融合スクールには、日本から11人、欧州から11人の学生が参加した。2週間にわたり、装置設計や技術、プラズマ物理、運転を学び、トカマクホールや制御室も訪れた。写真に写る修了の笑顔は、この研究拠点が持つもう一つの成果である。F4E・2026年9月21日の報告

8月31日には、学生や若手研究者が那珂に滞在して研究開発に関わる「JT-60SAオンサイト・ラボ」への欧州の大学・研究機関の参画も発表された。講義で学び、実機に触れる研究へ進む。その往復を国際的に育てようとしている。QST・日欧人材育成の発表

装置は、使いこなす人がいて初めて研究の力になる。見学会で説明を聞くときも、「この設備では何を確かめるのですか」「どんな仕事が組み合わさっていますか」と尋ねてみたい。進路を考える人には、教科書の科目と実際の仕事を結び付ける入口にもなる。

JT-60SA国際核融合スクールの修了証を手にした参加者たち。日欧の旗を背に並んでいる。
JT-60SA国際核融合スクールの修了写真(2026年9月)© QST/掲載:Fusion for Energy · 利用条件

明日の見どころは、自分の疑問から選ぼう

初めてなら、冷却や真空の体験から入るのもよい。機械が好きならNBIの実物展示やロボットアーム、電気に興味があれば中央変電所という選び方もある。リーフレットは中央変電所の275kV設備を案内している。これは27万5千ボルトという電圧だ。研究所を動かす電気の規模も、見学のテーマになる。

JT-60SA見学ツアーの事前申込は終了しているが、一般入場とは別の扱いだ。リーフレットでは、キャンセルが出た場合に限り当日申込を受け付けるとしている。有無や詳細は制御棟ロビーの総合案内で確認し、参加できると決めつけずにほかの企画も楽しみたい。ロボットアーム企画は当日整理券制で、枚数に限りがある。QST公式リーフレット

なお、研究所内の全施設を自由に見られるわけではない。会場やツアールートの範囲を守り、撮影の制限がある場所では現地の指示に従おう。研究施設を開いてもらう一日だからこそ、その約束も大切にしたい。

出発前に確認したい、時間と交通

開催は10月17日(土)10時〜16時、開場9時30分・閉場16時30分。会場は茨城県那珂市向山801-1で、入場無料・入退場自由だ。車は構内駐車場を利用できる。開場時間より前には来場できない。

電車ならJR常磐線・東海駅の西口から無料シャトルバスがある。同日は水戸ホーリーホックのバスも運行予定なので、「QST施設見学会」の乗降場所を確認しよう。帰りの最終便は那珂研16時15分発、東海駅16時30分着。閉場より早く出るため、帰りの移動時間を先に決めておくと安心だ。QST公式シャトル時刻表

雨天開催・荒天中止で、中止の場合は当日午前8時までに公式ページで知らせるとしている。出発前に最新案内を確認したい。

明日は、ニュースの中の核融合が、設備の大きさや研究の仕事として見えてくる日になる。巨大装置、その周囲を支える技術、世界と協力して挑む人たち。那珂研のすごさを、自分の疑問と一緒に確かめに行こう。

この記事を共有