Helical Fusionと富士電機が資本業務提携。電源の供給から、発電所をつくる協力へ

10月8日、Helical Fusionと富士電機が資本業務提携を発表。2025年の磁石用電源の供給契約から、技術・事業開発へ広がる協力を、参入企業が検討したい関わり方として読む。

FUSION INDUSTRY掲載日 2026-10-13更新 2026-10-13
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発表日:2026-10-08

銅製導体と絶縁ブッシングを備える一般的な産業用変圧器のイメージ
電源インフラのイメージFusion Industry

THE TAKE

核融合への参入を部品納入だけに限定せず、資本・技術・事業面の協力から考える。提携発表を将来の全設備受注や発電達成と取り違えず、次の確認事項を整理する。

WHY IT MATTERS

核融合への参入を部品納入だけに限定せず、資本・技術・事業面の協力から考える。提携発表を将来の全設備受注や発電達成と取り違えず、次の確認事項を整理する。

Helical Fusionと富士電機は10月8日、資本業務提携を発表した。富士電機は、核融合発電の実用化を目指す「ヘリックス計画」の公式パートナーにも加わった。両社はすでに2025年に磁石用電源の供給契約を結んでおり、今回は装置の取引に加え、技術と事業の検討へ関係を広げる動きだ。両社の共同発表

企業が核融合に関わる道は、完成した仕様書に応じて部品を納めるだけではない。開発途中から課題を共有し、自社の製品や経験を将来の設備へどう組み込むかを考える。今回の提携は、その関わり方を具体的に見る材料になる。

出発点は、超伝導磁石へ電流を送る電源

2025年9月30日の発表で、Helical Fusionは富士電機と、高温超伝導マグネット用の電源装置の供給に関する契約を締結したと説明していた。対象は実証装置Helix HARUKAで使う電源や関連機器で、発電初号機と位置付けるHelix KANATAへの展開も視野に入れていた。2025年の契約発表

磁石は、電流によってプラズマを閉じ込めるための磁場を作る。同社は、この磁石に低い電圧で大きな電流を安定して供給し、速く正確に制御する電源が必要だとしている。「超伝導だから電源は不要」ではなく、磁石と、それを運転する電力システムを一緒に設計する必要がある。

ここでいう高温超伝導は、従来の低温超伝導より高い温度域で使える材料を指す。常温で運転するという意味ではない。2025年の契約発表は協力の出発点であり、電源の納入完了や発電の実績を示す情報とは分けて読む。

銅製母線と絶縁支持部を組み合わせた大電流接続部のイメージ
大電流電源の接続部イメージFusion Industry

公式パートナーは、資本と開発の両方で関わる

Helical Fusionのパートナー制度は、技術・事業面での業務提携に加え、一定額以上の資本提携を伴うと説明されている。単にロゴを掲載する協賛枠ではなく、計画を主体的に進める企業の位置付けだ。公式パートナーの説明

今回、富士電機が参画するのは、Helix HARUKAとHelix KANATAの技術開発・事業開発に関する具体的な検討である。核融合の周辺技術の知見を蓄積することも、共同発表に示されている。将来の設備構成を考える段階から電機メーカーが入るため、機器単体の性能と、プラントとして動かす条件をすり合わせる接点が生まれる。

ただし、公開された提携発表には、個別の出資額、全設備の発注先、将来の受注金額は示されていない。資本参加を、その企業が発電所一式を受注したという意味に広げることはできない。

白紙と金属・絶縁材料の試作部品を並べた共同設計検討のイメージ
共同設計の試作部品検討イメージFusion Industry

実証装置と発電初号機は、役割を分けて見る

Helical Fusionは10月の発表で、2020年代中をめどに主要な要素技術を個別実証し、2030年代中にHARUKAでの統合実証とKANATAでの実用発電を目指すとしている。また、NIFSの敷地内の専用スペースで、HARUKAによる高温超伝導マグネット実証へ向けた製造・建設が進んでいると報告している。Helical Fusionの開発計画

これは企業が公表した進捗と目標だ。建設が進むこと、複数の技術を組み合わせて実証すること、発電して外部へ電力を供給することは、それぞれ異なる段階になる。研究機関の敷地内で開発していることだけで、民間計画の全性能が第三者によって検証されたとはいえない。

参入企業が考えたい、共同開発の入口

以下は、今回の提携から考えられる編集部の実務上の提案だ。核融合企業との協力を検討するなら、「何を売れるか」とともに、「どの設計上の判断を一緒に進められるか」を整理したい。

例えば電源周辺の企業なら、接続部分、冷却、計測、保守のどこまでを担当できるかを説明する。発電設備の経験を持つ企業なら、運転を止める時間や、点検時に部品を取り出せる空間まで含めて議論する。既存製品の流用で足りる箇所と、試作が必要な箇所を分けると、開発費と納期の見通しを立てやすい。

最初の打合せでは、次に確かめたい性能、評価する設備、試験の費用負担、仕様が変わった場合の扱いを揃える。試験結果を別案件に使えるか、開発が遅れた場合にどこで区切るかも、継続的な協力を支える条件になる。これは今回の契約内容を推測したものではなく、参入時の確認事項だ。

今回のニュースの中心は、発電達成ではなく、電源供給で始まった関係が資本と開発の協力へ進んだことにある。今後は、提携の発表に続いて、どの機器や試験が具体化し、どの段階の成果が示されるかを追いたい。

タービンの回転体と発電機設備を置いた一般的な保守工場のイメージ
タービン・発電機の保守工場イメージFusion Industry
出典・一次資料

情報基準日:2026-10-13
2026-10-13に両社共同発表PDF(2026-10-08)、Helical Fusionの同提携発表・開発計画、2025-09-30の電源供給契約発表、現行パートナー制度を実読。提携締結は企業共同発表、製造・建設進捗および2030年代実用化は同社報告・目標で独立第三者検証ではない。個別出資額・全設備発注先・将来受注額は当該提携発表に記載なし。参入企業向け確認事項は編集部の考察。本文・代表の写真風画像は特定企業の装置や完成発電所の記録・科学的構造の証明ではない。

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